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独立請求項への補正と単一性要件について

 前回のブログでは発明の単一性についての欧州での扱いについて述べたので、関連して独立請求項についての各国での扱いについてご説明します。

 例えば、以下の請求項があるとします:

   請求項1:Aを含む樹脂組成物。

   請求項2:さらにBを含む、請求項1に記載の樹脂組成物。

   請求項3:さらにCを含む、請求項1に記載の樹脂組成物。

 この出願について日本の特許庁に審査請求をして、拒絶理由通知において、請求項2及び3について「拒絶の理由を有しない」とされていたとした場合、出願人は、例えば次のように補正することができます:

   請求項1:A及びBを含む樹脂組成物。

   請求項2:A及びCを含む樹脂組成物。

 このように日本では、独立請求項を複数にしても通常は基本的に問題がありません。日本の特許庁では、単一性違反の拒絶理由の趣旨が審査の効率性に基づくものであり、一度審査を行った請求項を独立形式に書き直したところで、審査の効率性が低くなるものではないためです。

 少なくとも私の実務経験上では、韓国と米国でも、日本と同様に補正ができると考えています。

 中国についても、私の実務経験上は、上記のようなケースにおいて、2つの独立請求項に補正することは可能でしたが、審査指南上では、しっかりと請求項2と 請求項 3の単一性要件を判断するとされているようです。したがって、中国の現地代理人に対して、独立請求項を2つにする補正案Aと、独立請求項を1つにする補正案Bとを両方送って、現地代理人に判断してもらったり、審査官にコンタクトを取ったりしてもらうのが 実務上は 良いかもしれません。

  欧州 については、上記のようなケースで2つの独立請求項に補正をすると確実に拒絶されてしまいます。この場合、「単一性違反」の拒絶理由ではなく、「記載要件違反」の拒絶理由となります。

  欧州及び中国において、審査を受けた請求項についても、単一性違反等とされることは、 単一性違反の拒絶理由の趣旨 を審査の効率性であると考えている日本の出願人にとっては理解しにくいところです。これに関して、中国の審査指南においては、単一性要件の趣旨として、審査の効率性だけではなく、出願の分類・検索の容易性等についても挙げており、確かにそのような観点から見ると、独立請求項が2つあるというだけで拒絶理由を出す理由も理解できます。

 なお、 欧州においても、以下のように補正をすれば、問題がなくなる場合もあります:

   請求項1:Aを含み、B又はCをさらに含む樹脂組成物。

 もちろんケースバイケースではありますが、上記のような 欧州での取扱いを念頭に置いておくと、基礎出願のクレームドラフティングの際にも役立つのではないかと思います。

 ところで、欧州の出願人の外内出願を担当する場合には、上記のような日本と欧州との実務上の違いを認識しておくことが重要です。

 例えば、上記のような請求項1~3のうち、請求項2及び3に拒絶理由がない旨のOAを報告する場合には、請求項2及び3を共に独立請求項にできることを伝えるべきです。欧州の出願人には、独立請求項を2つにするという発想がでてきにくいためです。

 中国の出願人の外内出願を担当する場合にも留意しておくべきだと考えます。

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