WIPOへの直接出願 その2

WIPOを受理官庁にしてPCT出願をする場合としては、①優先権の期限までにPCT出願ができず、時差の関係でWIPOに出願する場合、②他国の特許事務所を通じて手続を進めたい場合、③優先権の回復について「緩やかな基準」の適用を受けたい場合等が挙げられますが、③の場合について、詳細を書きます(①、②についてはこちら)。

優先期間内にPCT出願をできなかった場合に、優先期間経過後2ヶ月以内であれば、優先権の回復が認められる場合があります(https://www.jpo.go.jp/system/patent/pct/tetuzuki/pct26-2_3_yusenken.html)。

受理官庁及び各指定国は、出願人が優先期間内にPCT出願できなかったことの理由が、より緩やかな「故意ではない(unintentional)基準」及び/又はより厳格な「相当な注意(due care)基準」を満たす場合に、優先権の回復を認めますが、どの基準を採用するかは、各官庁に委ねられています。ここで、JPOでは、より厳格な「相当な注意基準」を採用していますが、WIPOは、より緩やかな「故意ではない基準」を採用しているため、WIPOでは、優先権の回復が認められやすくなります。出願人としてはPCT出願について優先権の回復を認めてもらうために、受理官庁と指定国との両方で認めて貰う必要がありますが、少なくともJPOでは、優先権の回復が認められにくいため、このような場合には、WIPOに直接出願することが有利となります。

なお、どの国が「故意ではない(unintentional)基準」を採用しているかは、以下のサイトから確認することができ、主要国では、米国が採用しており(手数料USD2000というのが米国らしい…)、イギリス(GB)、マレーシア(MY)等もこの基準を採用しています。https://www.wipo.int/pct/en/texts/restoration.html

なお、より厳格な「相当な注意(due care)基準」を満たすとしても、優先権の回復を認めていない官庁もあり、例えば、韓国(KR)、インド(IN)、ブラジル(BR)等は、優先権の回復を一切認めていません。