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EPOの単一性要件について

 EPOは非常に厳格な単一性要件を有しており、日本の出願人としては非常にやっかいに考える人が多いのではないでしょうか。ただし、厳格な発明の単一性要件については、最も不利益を受けるのはEU圏内の出願人であると考えます。

 日本の特許出願人は、日本の特許庁の基準に合わせてクレームドラフティングを行います。日本の特許庁では、単一性要件の基準は比較的緩いため、日本の出願人は、その比較的緩い基準に基づいて、クレームドラフティングを行います。その結果として、日本の出願人は、外国で分割出願等の必要性に迫られる場合が多々あります。

 それに対して、欧州の出願人は、EPOの非常に厳しい単一性要件の基準に合わせてクレームドラフティングをするため、他国で単一性違反の拒絶理由を受けることは殆どありませんが、非常に狭い範囲で権利化せざるを得なくなったり、他国では1件で出願するものを複数件に分けたりして出願をしたりしています。

 EPOでは、各カテゴリー毎に独立請求項は原則として1つずつと規定されており、すなわち1件の特許出願には、物の発明と物の製造方法の発明とで独立請求項を1つずつだけ含めることができます。しかも、物の発明と物の製造方法の発明とを独立請求項で特定するためには、その物の発明が、その物の製造方法の発明によって得られるという関係でなければ、記載要件違反になる可能性が高く(EPC rule 43)、事実上、物の製造方法の請求項も、物の発明と同じような発明特定事項を有している必要があります。

 日本の特許庁では、物の発明の請求項と、物の製造方法の発明の請求項とで、全く異なる発明特定事項を有していても、明細書等の内容を踏まえて、その物の製造方法から、その物が得られるであろうということが理解できるのであれば、単一性違反の拒絶理由を受けることが通常はありません。

 したがって、日本でクレームドラフティングする者にとっては、物の発明の請求項と物の製造方法の請求項とで、全く異なる特定を行うのは通常のことであり、その点で多面的な保護を考える習慣があると言えます。

 一方で、日本発の特許出願は、特にEPOにおいて分割出願の必要性をもたらす可能性が高いといえます。しかしながら、EPOの出願人のように初めから狭い範囲でクレームドラフティングをしてしまうよりは、日本の出願人のように広めのクレームで出願をして後から分割出願をするか、製造方法の発明の請求項を物の発明の請求項に従属させる等の対応をする方が、発明の保護を考える際には有効ではないかと考えます。

 とはいえ、日本の出願人も初めからEPOの単一性要件についてしっかりと認識しておかないと、不必要な分割出願をするはめになって高額な費用が発生する場合があるので(EPOで分割出願をすると維持年金を一括で支払う必要があります)、少なくともPCT出願をするときにはしっかりと留意しておくことが重要です。

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